古典派音楽にはどんな特徴がある?有名な作曲家たちが力を入れた器楽曲とは

クラシック音楽史の中で、バロック時代に続く古典派時代。この時代はモーツァルトやベートーヴェンなど偉大な作曲家たちが活躍した時期でもあります。古典派時代の音楽にはどんな特徴があるのでしょうか?

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古典派時代の概要

西洋音楽史における古典派時代とは、1750~1820年頃の期間を指します。

バロック時代にあたる1750年頃までは、クラシック音楽は、教会や宮廷で演奏されていました。

しかし、古典派時代になると、音楽を楽しむ人たちは市民層に移っていきます。パリやロンドンなどの大都市で市民演奏会が催されるようになり、演奏や楽譜に対しお金が支払われるようになります。

このような背景のもと、古典派時代では演奏会向きの器楽ジャンルが発展しました。

古典派時代の音楽の特徴

「古典派」時代の音楽とは、「後に古典的な規範となった」作品群を意味します。
古典派時代では次のような器楽ジャンルの音楽が発展します。

 

  • 交響曲
  • 独奏協奏曲
  • 弦楽四重奏

 

交響曲

クラシック音楽と言えば、様々な楽器が集まったオーケストラで演奏される曲を思い受かべる方も多いと思います。その、オーケストラ(管弦楽)のために書かれた楽曲が交響曲です。交響曲は、古典派時代に大きく発展しました。

 

交響曲の原点は「オペラ」

オーケストラは、バロック時代に生まれたオペラの器楽合奏という役割を担い、その中で歌唱を伴わずにオーケストラだけで合奏される部分をシンフォニアと呼んでいました。

これをオペラから切り離し、演奏会用のシンフォニアが書かれるようになったのが交響曲の始まりです。

 

ウイーンで発展

交響曲は、1770年頃からウイーンで大きく発展します。

この時代にウイーンで活躍した作曲家を「ウイーン古典派」と呼びますが、なかでも交響曲の父と呼ばれるハイドン、40曲以上の交響曲を書いたモーツァルト、そしてベートーヴェンは交響曲の発展に貢献しました。

 

協奏曲


市民向けの演奏会が普及するなか、演奏者の技量や個性に注目するという音楽の楽しみ方が生まれました。

協奏曲というジャンルはバロック時代からありましたが、古典派時代では、楽曲の規模も大きくなり、独奏者の技巧を披露する部分「カデンツァ」が組み込まれるようになったのです。

 

古典派時代、協奏曲のなかで特に発展したのがピアノ協奏曲です。

モーツァルトは27曲のピアノ協奏曲を書いていますが、11番から27番まではウイーンで創作しました。ウィーンで独立したモーツァルトはピアノ協奏曲を自作自演し、貴重な収入源を得ます。

ウイーン時代に書かれたモーツァルトのピアノ協奏曲は、当時の最高水準の技法が要求され、そのすべてが表情豊かな表現に溢れています。

 

弦楽四重奏

弦楽四重奏とは、4つの弦楽器を使用して演奏する形態のことを言います。4つの弦楽器とは、2つのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの編成が一般的です。

古典派時代では、弦楽四重奏が知識階級の人々が楽しむ音楽として発展します。

 

高度な技術が要求される弦楽四重奏

弦楽四重奏は編成楽器が少ないため、演奏者に高い技術が要求されます。貴族の家など、知識人が集まる場所で演奏されることが多かったようです。

作品の難度が高い一方、音量や音色の色彩感が地味である点が、知識階級に好まれる一因だったのかもしれませんね。

 

ハイドンとモーツァルトの親交

ハイドンは、70曲近くの弦楽四重奏曲を残し、弦楽四重奏曲の発展に大きく貢献しました。

1781年に発表した6曲セットの「ロシア四重奏曲」は、弦楽四重奏曲の古典派的手法を確立させたともいわれており、当時も専門家から高く評価されました。

この4年後モーツァルトは、ハイドンから学んだことへの感謝を示した「ハイドン・セット」という弦楽四重奏曲を出版し、ハイドンに献呈しています。

このような2人の親交も、弦楽四重奏曲のジャンルの発展に寄与しています。

 

モーツァルトがハイドンを自宅に招いて「ハイドン・セット」を試演したというエピソードも残っていますが、2大音楽家の共演ってどんなものだったのでしょう?ちょっとワクワクしますね。

 

弦楽四重奏の魅力をもっと知りたいなら

古典派音楽を特徴づける「ソナタ形式」


古典派時代で作曲された「交響曲」「協奏曲」「弦楽四重奏曲」を含む器楽曲は、3~4つの楽章から構成されており、それぞれの楽章が異なる性格を持っています。

この定型をソナタと呼び、ソナタの第一楽章に常用される形式がソナタ形式です。

ソナタ形式は、次のような3つのパートで構成されています。

 

ソナタ形式

  • 2つの主題が最初に提示される「提示部」
  • 主題を繰り返したり、転調したりと変化が加えられる「展開部」
  • もとの主題が再度提示され、まとめられる「再現部」

 

古典派時代の音楽を特徴づける「ソナタ形式」の楽曲。

ピアノソナタやヴァイオリンソナタ、チェロソナタと、曲名に「ソナタ」がつくものだけでなく、「交響曲」「協奏曲」「弦楽四重奏曲」も実はソナタだった!という点が興味深いとは思いませんか?

 

私たちは知らず知らずのうちに、ソナタ形式の楽曲を耳にしているのかもしれませんね。

 

古典派時代に活躍した有名な作曲家

これまでの説明で、すでに名前が出てきましたが、古典派時代に活躍した主な作曲家をご紹介します。

ハイドン

ハイドンは、1732年にオーストリアに生まれた作曲家です。

先に述べたように、交響曲や弦楽四重奏曲の発展に大きく貢献し、「交響曲の父」「弦楽四重奏曲の父」と呼ばれます。

29歳のときにハンガリーのエステルハージ侯爵家に副学長の職につき、5年後に学長に就任します。以降約30年間にわたり学長職として、その学長職を退いた後は、自由な音楽家としてオペラや教会音楽を含む様々なジャンルの作品を残しました。

 

モーツァルト

オーストリア・ザルツブルク生まれの作曲家です。

幼少時から音楽の英才教育を受け、「神童」として際立った才能を発揮します。

演奏旅行やザルツブルク宮廷音楽家として活動した後、25歳のときにウィーンに移住し、独立。本格的な作曲活動を行い、生涯で700以上もの曲を残しています。

 

ベートーヴェン

ドイツ生まれの作曲家です。

モーツァルトのように宮廷に仕えることはなく、自由業のような芸術家として活躍しました。

楽曲に作品番号をつけた最初の作曲家であり、音楽を演奏会限りの娯楽ではなく、芸術作品として残した人です。

交響曲、弦楽四重奏曲、ピアノソナタなどを含む室内楽曲など器楽ジャンルに音楽史的に重要な多くの傑作を残し、後の時代に大きな影響を与えました。

ハイドン:交響曲「軍隊」&「時計」(室内楽版)

ハイドンの交響曲「軍隊」&「時計」を室内楽用に編集したものです。

編曲を担当したペーター・ザロモンはドイツ生まれの音楽家で、ロンドンでヴァイオリニスト、興行師として活躍していました。ハイドンをロンドンに招き、演奏会を成功させたことでも有名です。

 

おすすめ!

コンバッティメント・コンソート・アムステルダム/ハイドン:交響曲「軍隊」&「時計」(室内楽版)

 

オリジナル楽器を使った優美な演奏から、この時代の響きを味わうことができます。交響曲を身近に感じることができる一枚です。

オーケストラ版と聴き比べてみるのも楽しそうですね

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