カンタータってどんな意味?バッハが作曲したカンタータの種類や形式

バロック時代に多く作られた「カンタータ」。

今回は、

カンタータってどんな楽曲?

カンタータで有名な曲は?

こんな質問にお答えします。

 

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カンタータの意味

カンタータとは、主に17~18世紀に発展した声楽曲のジャンルのひとつで、独唱・合唱及び器楽伴奏で構成される楽曲です。

「歌う」という意味を持つイタリア語「cantare(カンターレ)」を語源としています。

 

カンタータの形式

カンタータはもともと、ある基本の旋律を少しずつ変化させながら繰り返すという有節変奏形式の声楽曲でした。

しかし、1650年頃からオペラの影響を受け、いくつかの楽章で構成されるようになります。楽章の形式には次のようなものがあります。

 

  • レチタティーヴォ
  • アリア
  • コラール

 

レチタティーヴォ

オペラで登場する人物の対話部分に使われる歌唱様式です。
自然な話し言葉のリズムやアクセントを真似たり、強調したりします。

 

アリア

叙情的かつ旋律的な表現に富んだ独唱による歌唱様式です。心情をたっぷりと表現する部分に用いられます。

 

コラール

ドイツ・プロテスタント教会で歌われる讃美歌です。

カトリック教会では基本的に一般の人々が礼拝音楽に参加することはありませんでしたが、マルティン・ルターの宗教改革によって、民衆が覚え歌いやすいドイツ語の讃美歌が生まれました。

18世紀前半にドイツで発展した教会カンタータに取り入れられました。

 

バッハが残した2種類のカンタータ

バッハは200~300曲ものカンタータを残していますが、バッハのカンタータは主に、教会カンタータ世俗カンタータの2種類に分けることができます。

 

教会カンタータ


カンタータはイタリアで誕生し、貴族の家で催されるパーティなどで演奏されていました。

しかし、17世紀ドイツ中北部のプロテスタント地域では、礼拝音楽として独自の教会音楽が生まれます。それが教会カンタータです。

バッハは、イタリアのレチタティーヴォやアリアなどの形式を取り入れたり、コラールを加えたりしながら、時代とともに教会カンタータを変化させていき、200曲もの教会カンタータを残しました。

 

ここでは、バッハの教会カンタータから有名な3曲をピックアップしてご紹介します。

時代背景や作曲当時のバッハの状況とともに追ってみましょう。

 

バッハの教会カンタータ 代表曲

カンタータ第4番「キリストは死の縄目につきたまえり」(BWV4)

バッハがミュールハウゼンでオルガニストだった時代(1707~1708)に書かれた曲です。
現存するバッハの教会カンタータのなかで、最も古い作品に分類されます。

この時期のカンタータは、イタリアのレチタティーヴォやアリアは使われておらず、伝統的で古風なスタイルで作られているのが特徴です。

カンタータ4番は、復活祭(キリスト教の祝日のひとつ)のために演奏される教会カンタータで、全8曲で構成されています。

第1曲のシンフォニアを除いた残りの7曲は、マルティン・ルターが書いたコラールを編曲した、コラール変奏曲です。

 

カンタータ第147番「心と口と行いと生活で」(BWV147)

バッハのカンタータのなかでも、最も有名な作品のひとつでしょう。全10曲、2部構成となっています。

レチタティーヴォやまばゆいアリアが散りばめられており、第1部と第2部はそれぞれコラール合唱で締めくくられています。

 

[st-kaiwa1 r]『主よ、人の望みの喜びよ』という曲を聞いたことはありませんか?これは、カンタータ第147番を英国のピアニスト、マイラ・ヘスがピアノ独奏用に編曲したものです。[/st-kaiwa1]

 

147番は1723年の作品ですが、バッハがこの曲の原曲を書いたのは、ヴァイマル宮廷でのオルガニストだった時代(1708~1716)です。

この頃からオペラ風のレチタティーヴォやアリアを取り入れて教会カンタータを作り始めました。1714年に宮廷楽師長に就任し、以降、1ヶ月に1曲のペースで教会カンタータを作曲・演奏します。

この曲を現在の形に仕上げたのは、1723年にライプツィヒの聖トーマス教会のカントルに就任してからです。この時期からバッハは、ほぼ毎週教会カンタータを提供するようになります。

ライプツィヒ時代には、147番のほかにも、特定のコラールを元にして書いた「コラール・カンタータ」や「独唱カンタータ」、また「オルガン独奏を取り入れたカンタータ」も数多く残しています。

 

カンタータ第140番「目覚めよと呼ぶ声あり」(BWV140)

1731年に作られたカンタータです。フィリップ・ニコライという作曲家のコラールを元にしたコラール・カンタータで、第1曲、第4曲および第7曲にコラールが用いられています。

フィリップ・ニコライの旋律とバッハが添えた旋律が絡み合い、美しく、神聖な雰囲気を醸し出す音楽です。

 

1728年以降に作曲された教会カンタータは、数こそ少ないものの、そのどれもが、とても中身の充実した大曲となっています。

晩年に近づくにつれ、バッハは自分の作品の集大成を残そうと思ったのかもしれませんね。

 

1747年頃には、バッハは自分の教会カンタータの中から6曲を選び、オルガン曲に編曲して「シュープラー・コラール集」として発表しています。140番は、その選ばれし1曲でもあります。

声楽曲と器楽曲とで聴き比べをしてみるのもおすすめですよ。

 

世俗カンタータ


世俗カンタータは、一般の演奏会や特別な行事のために作られたカンタータです。

貴族のパーティ用音楽としてイタリアで生まれた本来のカンタータの姿に近いものと言えるでしょう。

バッハの世俗カンタータでは、22曲が完全な形として残っています。代表的な作品には次のようなものがあります。

 

バッハの世俗カンタータ 代表曲

「狩りのカンタータ」(BWV208)

バッハがヴァイマル宮廷に仕えていた1712年に作られた曲です。ヴァイセンフェルス公爵の誕生日を祝うために作曲されました。

 

「コーヒーカンタータ」(BWV211)

バッハがコレギウム・ムジクムの演奏会のために作った作品です。当時流行していたコーヒーに夢中になる娘と、それをやめさせようとする父親とのやりとりをコミカルに描いています。

 

 

コレギウム・ムジクムは「音楽の団体」を意味し、ドイツでは学生や音楽愛好家による演奏団体の名称として用いられました。

1730年代は、バッハがライプツィヒのコレギウム・ムジクムの指揮をしており、週に1度、ツィンマーマンという人物のコーヒー店で演奏会を開催していました。コーヒー・カンタータはそこで1734年に演奏された作品です。

 

 

バッハの遺品のなかには、コーヒーポットがあったと伝えられています。バッハもコーヒーを愛飲していたのかもしれませんね。

 

「農民カンタータ」(BWV212)

1742年に、ライプツィヒ近郊のクライン・チョハー村の夏祭りで上演された曲です。

全24曲で構成されていますが、それぞれ2分程度の短いもので、農民の訛りを表現したユーモラスな内容と親しみやすいメロディが特徴です。

 

トン・コープマン指揮、アムステルダム・バロック管弦楽団&合唱団/カンタータ全集 Vol.4

オランダのオルガニストでもあるトン・コープマンによる録音。

コーヒーカンタータを含め、バッハがライプツィヒ時代に作った世俗カンタータが収録されています。

 

コーヒーカンタータの生き生きとした楽しい演奏のほか、クリスマス・オラトリオの元になった201番や、心揺さぶる葬送音楽の198番など、様々な世俗カンタータが楽しめます。

バッハのカンタータの世界は、本当に広くて、深い…!それが私の個人的な感想です。

それぞれに個性があり、美しく、尊い。そんな印象のあるカンタータ。

声楽はちょっと苦手‥という方は、シュープラー・コラール集のようなカンタータを原曲に用いた器楽曲を聴いてみるのもおすすめです。

ぜひお気に入りのカンタータを見つけてみてください。

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