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楽譜は音楽を人に伝える手段です。どんな曲なのか、どのように演奏するのかを示します。
しかし、楽譜には記号がたくさんあり、正しく曲を知るためには、それぞれの記号の意味を理解する必要があります。
今回は、楽譜の記号の種類と基本的な意味についてご紹介します。
楽譜のテンプレート「五線譜」
まずは、身近にある楽譜を見てみましょう。5本の横線があり、音符などの様々な記号が記されていますね。これは五線譜といわれ、中世ヨーロッパの時代に生まれたものです。
5本の横線は音の高さを表し、その上に音の長さやリズムを示す音符を記すことで、曲を構成します。
五線譜の上に並ぶ記号には、音符を含め次のようなものがあり、大きくふたつに分けることができます。
曲を構成するために必要不可欠な記号
- 音符
- 休符
- 音部記号
- 調号
- 拍子記号
演奏記号
- 速度記号
- 強弱記号
- 発想記号
- 奏法記号
それでは、一つずつ説明していきましょう。
楽譜記号の種類と基本的な意味
音符
楽譜の主役。おたまじゃくしのような黒い丸に棒や、ひょろんとした羽がついたような記号です。
音符は、音の高さと長さを的確に表すために用いられます。
全音符、二分音符、四分音符、八分音符…など、形によって音の長さを表します。
また、その音符が五線譜のどこに示されているかによって、音の高さが分かります。
休符
休符は、音がないこと、そして、その長さを表すための記号です。
音がないのなら表さなくても良いのではないかと考えてしまうかもしれません。しかし、音を出さない“間”は、音楽を生かすためには大切な要素です。ときに沈黙を表し、また、演奏中の呼吸のための役割も担います。
音部記号
五線譜の楽譜のいちばん左端の部分に付いている記号です。
音部記号は、音符が示される実際の高さを知るのに大切なものです。
いちばん、馴染みがあるものはト音記号でしょう。記号のかき出しの部分の音を基準とすることを示しており、ト音記号であれば、書き出しとなる下から二番目の線(第2線)が「ト音(ソの音)」であることを意味します。
音部記号にはト音記号のほかに、ヘ音記号やハ音記号などがあります。
音部記号の一例
- ト音記号(高音部記号、ヴァイオリン記号)・・・書き出しとなる位置がト音(ソの音)であることを意味します。
- ヘ音記号(低音部記号、バス記号)・・・書き出しとなる位置がヘ音(ファの音)であることを意味します。
- ハ音記号 ・・・ハ音記号の中心が、ハ音(ドの音)を示します。
調号
楽譜のあたまに、音符記号の右側についている、♯(シャープ)や♭(フラット)などの記号が調号です。
この記号の種類や数によって、曲の調性を知ることが可能です。
例えば、何も付いていない場合は、ハ長調またはイ短調、♯(シャープ)がひとつ付いている場合は、ト長調またはホ短調という具合です。
調号の示し方には規則性があり、全体で24通りの調号のパターン(調性)があります。
バッハの「平均律クラヴィーア曲集第1巻」は、24のすべての調を用いて構成された音楽至上初の曲集として知られています。
なお、♯(シャープ)や♭(フラット)は、曲の途中でも示されることがあり、これを「臨時記号」と呼びます。
調号と臨時記号の違いは、その記号が持つ有効性の長さです。調号が曲全体に有効であるのに対し、臨時記号は、その小節内だけで有効になります。
「調」についてもっと知りたいなら
拍子記号
拍子記号は、音楽のリズムを表す記号です。リズムはメロディやハーモニーと並ぶ音楽の3大要素のひとつといわれています。
具体的には、楽譜の冒頭に示される3/4、6/8のような記号です。
分母は拍の単位を、分子は一小節に入る拍の数を表しています。
例えば、3/4拍子の場合は、4分音符が1小節の中に3つ入るという意味です。
4/4拍子を表す「C」の記号など、分数で表されない拍子記号もあります。
速度記号
速度記号は、曲の速さを表すものです。曲のテンポはその曲のイメージを左右します。
曲の冒頭に、左上に記されており、楽語やメトロノーム記号、もしくはその両方で表されます。
速度記号はたくさんありますが、代表的なものとして、次のようなものが挙げられます。
速度記号の一例
- ラルゴ(largo)幅広く、ゆったりと
- レント (lento)遅く
- アダージョ(adagio)ゆるやかに
- アンダンテ(andante)歩くような速さで
- アレグロ(allegro)速く
- プレスト(presto)急速に
など
- メトロノーム記号 ♩=60 1分間に四分音符が60入る速さで
曲の途中に出てくる速度の変化を表す楽語 の一例
- リタルダンド ritardando (rit.)だんだん遅く
- アッチェレランド accelerando (accel.) だんだん早く
- ア・テンポ a tempo 元の速さで
など
強弱記号
音の強弱を表す記号です。楽譜の冒頭に限らず、いたるところで見られます。
強弱記号の有効範囲は、次の強弱記号が現れるまでです。
強弱記号には、次のようなものがあります。
強弱記号の一例
- pp ピアニッシモ さらに弱く
- p ピアノ 弱く
- mf メゾフォルテ やや強く
- f フォルテ 強く
など
これも音楽家やその時代によって、強弱記号の付け方に特徴があるのが興味深いです。例えばベートーヴェンの初期の音楽は、本当に強弱の上下が激しい曲が多く、なかなか演奏していて忙しいのですが、面白いなと感じることがあります。
発想記号
曲の性格や感情を表す記号です。表情記号と呼ばれることも。音楽をより精密に表現する手段として用いられ、作家の「ここはこんなニュアンスで、こんな気持ちで演奏してほしい」という思いが込められています。
ピアノのレッスンなどで、「もっと気持ちを込めて!」「もっと歌って!」と先生に指示されることがありませんか?
音楽に表情を出して、より感情豊かに演奏するための指示ですね。
ドラマ化もされて話題になった人気コミック『のだめカンタービレ』の「カンタービレ」は「歌うように、のびやかに」を意味した発想記号です。まさに“のだめ”を表したような楽語ですね!
発想記号もたくさんありますが、主に次のようなものが挙げられます。
発想記号の一例
- appassionato アパッシオナート 熱情的に
- cantabile カンタービレ 歌うように
- dolce ドルチェ 柔和に、柔らかく
- legato レガート 滑らかに
など
奏法記号
奏法記号は音符のまわりに付く記号のことで、音やフレーズの表現を細やかに指示するために用いられ、アーティキュレーションとも呼ばれます。
発想記号は曲全体のイメージを表すことが多いのですが、奏法記号は、個々の音符やフレーズのようなもっと短い部分に対して使われます。
奏法記号の一例
- スタッカート 音を短く切り離して演奏する
- スラー 切れ目なくなめらかに演奏する
- フェルマータ その音を適度に伸ばす
など
初心者は、何から覚えればいい?
これから楽器を始めようとする初心者の方は、楽譜の記号が、たくさんありすぎて何から学べば良いかわからないという方もいるでしょう。
まずは、楽譜の音を読み取れることが大切です。
前述した、曲を構成するために必要不可欠な記号(音符・休符・音部記号・調号・拍子記号)を最初にしっかりと覚えましょう。
正確に音を読めるようになったら、演奏記号についてゆっくりと覚えていきましょう。
演奏記号は、数多くありますので、曲を習得する過程で、出てきた記号や用語をその都度調べると良いですね。
インターネットで検索しても情報を得ることができます。また、分からない記号が出てきたときにさっと調べられるように、ポケットサイズの音楽記号辞典を身近に置いておくのもおすすめです。
音符・休符・音部記号・調号・拍子記号を最初に覚えましょう。
楽譜は作曲家からのメッセージ
楽譜記号の概要と基本的な意味についてご紹介しました。
楽譜を初めて読む方には、最初は慣れないものばかりだと思いますが、楽譜を多く読めば読むほど覚えられます。
だんだん慣れて奏法記号にまで目が向いてくると、練習中に「えっ!ここでこの表現⁉」と感じることがあるかもしれません。でも、そんな部分を大切に演奏することで作曲家のこだわりや大事にしていることを感じられて、楽しくなります。
一音一音を大切に演奏しましょう!
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- ベートーヴェン作曲「第九 歓びの歌」
- ホルスト作曲「組曲惑星より ジュピター」
- ショパン作曲『別れの曲』(「練習曲」作品10の3番より)
- 伊勢正三作曲『なごり雪』
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