クラシック音楽の著作権は完全にフリーではない、注意点

クラシック音楽は、その多くが数百年前に作曲されたものであり、著作権が存在しないと考えがちです。しかし、実際にはクラシック音楽を使用する際にはいくつかの重要な注意点があります。例えば、他者が演奏したクラシック音楽の音源を利用する場合や、自分で演奏したクラシック音楽を販売する場合には、特定の著作権が関係してきます。本記事では、クラシック音楽の著作権に関する基本的な知識と注意すべきポイントについて詳しく解説します。

著作権とは

著作権とは、創作物を保護し、その利用を管理するための法律です。これは、音楽、文学、絵画、映画など様々な創作物に適用されます。著作権の目的は、創作者がその作品から正当な利益を得ることを保証し、創作活動を促進することです。著作権は、創作物が作成された時点で自動的に発生し、特許や商標とは異なり、特別な登録手続きは必要ありません。

クラシック音楽の著作権

クラシック音楽は、一般的に作曲者の死後50年以上経過しているため、その楽譜や曲自体はパブリックドメイン(公共領域)に属し、著作権は存在しません。これは、日本を含む多くの国で適用される一般的なルールです。しかし、注意すべきは、クラシック音楽の「演奏」や「録音」に関しては別の著作権が存在することです。

著作権で保護される期間

日本の著作権法によれば、著作権は原則として著作者の死後70年間保護されます。したがって、20世紀以前に亡くなった作曲家の作品は、現在ではほとんどがパブリックドメインとなっています。しかし、演奏や録音の著作権は別途保護されるため、これにも注意が必要です。

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世界各国の著作権の保護期間

主要な国々における著作権の保護期間を一覧表にまとめたものです。一般的に、著作権の保護期間は著作者の死後一定期間にわたって続きますが、国によってその期間は異なります。

国名 保護期間
日本 著作者の死後70年
アメリカ合衆国 著作者の死後70年(法人著作の場合は発行後95年、または創作後120年のいずれか短い方)
カナダ 著作者の死後70年
イギリス 著作者の死後70年
フランス 著作者の死後70年
ドイツ 著作者の死後70年
イタリア 著作者の死後70年
スペイン 著作者の死後70年
ロシア 著作者の死後70年
オーストラリア 著作者の死後70年
中国 著作者の死後50年
韓国 著作者の死後70年
インド 著作者の死後60年
ブラジル 著作者の死後70年
メキシコ 著作者の死後100年
南アフリカ 著作者の死後50年
アルゼンチン 著作者の死後70年
サウジアラビア 著作者の死後50年
エジプト 著作者の死後50年

著作権の種類

著作者人格権

著作者がその作品に対して持つ精神的な権利で、譲渡できません。

著作財産権

作品を経済的に利用するための権利で、譲渡や相続が可能です。この中には、複製権、上演権、上映権、公衆送信権、展示権、頒布権、貸与権、翻訳権などが含まれます。譲渡や相続が可能ですが、相続した場合でもその相続者の死後70年に更新されることはありません。著作権の保護期間はあくまで「著作者の死後70年間」であり、相続によって延長されることはありません。

つまり、著作者が亡くなった時点から70年間、その著作権は相続人に引き継がれますが、保護期間は著作者の死亡時から70年で固定されており、その後はパブリックドメインとなります。

実演家の権利

演奏家がその演奏に対して持つ権利です。録音や放送に関しても保護されます。

レコード製作者の権利

録音物を製作した者が持つ権利で、録音物の複製や頒布に対して適用されます。

他者が演奏したクラシック音楽音源の著作権

他者が演奏したクラシック音楽の録音には、その演奏者やレコード製作者の著作権が適用されます。したがって、他者が演奏した音源を無断で使用することは、著作権侵害となります。このため、他者の演奏を使用する際には、使用許諾を得ることが必要です。クラシック音楽は著作権がフリーだと勘違いされていますがこのように誰かが演奏したクラシック音楽に関してはその演奏者の著作権が適用される点については十分注意が必要です。

クラシック音楽を YouTube の動画の BGM に利用する場合

YouTubeでクラシック音楽をBGMとして使用する場合も、注意が必要です。パブリックドメインの楽曲であっても、その演奏や録音には著作権が存在するため、使用する音源の著作権を確認する必要があります。YouTubeには、著作権で保護された音源を無断で使用すると、著作権侵害の申し立てが入り、動画が削除されたり、収益化が停止されるリスクがあります。そのため、YouTubeの音楽ライブラリや、著作権フリーの音源、自分自身で演奏したクラシック音楽音源をを利用するのが安全です。著作権フリーの音源でも、音源の提供元を動画に表記したり概要欄にリンクを入れたりしなくてはならないというルールがある場合もあるので慎重に確認しましょう。

自分でクラシック音楽を演奏して販売する場合の著作権

自分でクラシック音楽を演奏して録音し、その音源を販売する場合、あなた自身が演奏家としての著作権を持ちます。しかし、販売する前に、作曲者の楽譜が本当にパブリックドメインに属しているかを確認することが重要です。もしパブリックドメインに属している場合、作曲者の著作権については心配する必要はありませんが、あなたの演奏についての著作権はしっかりと保護されます。

著作権に関する理解を深めることは、音楽を利用する際のトラブルを避けるために非常に重要です。クラシック音楽の利用を考えている方は、必ず事前に著作権について確認し、適切な許諾を得るようにしましょう。

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