クラシック音楽の癒し効果や脳への影響に関する驚きの論文

クラシック音楽を聴いていると、なんとなく気持ちが落ち着いたり、不思議と集中できたりすることってありませんか?
「気のせいかな?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、実はこれ、ちゃんと科学的な根拠があるんです。

世界中の研究者たちが長年にわたってクラシック音楽と脳・心身の関係を研究してきており、数々の興味深い論文が発表されています。今回は、そんな「驚きの研究結果」をいくつかご紹介しながら、クラシック音楽が私たちの脳と心にどんな影響を与えているのかを、わかりやすく解説していきたいと思います♪

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練習曲リスト

番号 曲目 作者
1 第九 歓びの歌 ベートーヴェン
2 組曲惑星より ジュピター ホルスト
3 別れの曲(練習曲作品10の3番より) ショパン
4 なごり雪 伊勢正三
5 遠き山に日は落ちて(交響曲第9番第2楽章より) ドヴォルザーク
6 いい日旅立ち 谷村新司
7 トルコ行進曲 モーツァルト
8 結婚行進曲 ワーグナー
9 ガヴォット ゴセック
10 クシコスポスト ネッケ
11 メヌエット ベートーヴェン
12 主よ人の望みの喜びよ バッハ
13 アヴェ・マリア カッチーニ

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「好きな曲を聴くと、脳が幸せになる」——マギル大学の研究

まず、私が「これはすごい!」と思った研究が、カナダのマギル大学(McGill University)の神経科学者チームによるものです。
2011年に科学誌『Nature Neuroscience』に発表されたこの研究では、好きな音楽を聴いているときの脳の変化を、PETスキャン(放射断層撮影)やfMRI(機能的MRI)という最先端の技術で測定しました。

この研究のポイントは、実験の参加者に自分が「ゾクゾクするくらい好き」と感じる音楽を持参してもらい、聴いている最中の脳活動を詳細に観察。その結果、好きな音楽を聴くと脳の「線条体(せんじょうたい)」という部位からドーパミンが大量に分泌されることが確認されました。

ドーパミンとは、「幸せホルモン」とも呼ばれる神経伝達物質。おいしいものを食べたとき、褒められたとき、目標を達成したときに分泌されるあの「うれしい!」という感覚の正体です。
さらに驚くことに、この反応は実際に音楽を聴いているときだけでなく、「もうすぐ好きなフレーズが来る…!」という期待感だけでも起きていたのです。
つまり、クラシック音楽を聴いて「あ〜、この部分が来た!」とうれしくなる感覚は、まさに脳の報酬系が働いている証拠。私たちがクラシックを繰り返し聴きたくなるのは、脳レベルで「もっと!」という信号が出ているからかもしれませんね。

α波と「1/fゆらぎ」——クラシックが生み出す「理想の脳状態」

「クラシックを聴くとリラックスできる」というのも、脳波の研究によって科学的に説明できます。
人間の脳は、その状態によって異なる脳波を発しています。なかでも「α波(アルファ波)」は、リラックスしているけれど集中もできているという、いわゆる「ゾーン」に入った状態のときに多く出る脳波です。

α波が出ると?

  • 心が穏やかに落ち着く
  • 集中力や記憶力が上がりやすくなる
  • 創造性が高まる
  • β-エンドルフィンが分泌され、幸福感が増す

そして、クラシック音楽にはこのα波を引き出しやすい「1/fゆらぎ」という特性が含まれています。
「1/fゆらぎ」とは、ろうそくの炎の揺れ、川のせせらぎ、木漏れ日のちらつきなど、自然界のあちこちに見られる「規則的でありながら少し不規則な」ゆらぎのパターンのこと。人間の生体リズムとよく共鳴するため、本能的に「心地よい」と感じる仕組みになっています。

モーツァルトやバッハのクラシック音楽には、この1/fゆらぎが豊富に含まれていることが研究で示されています。だから、なんとなくスピーカーからクラシックが流れているだけで、ふと気持ちが和らぐ…という現象は、決して「気分の問題」ではなく、脳が正直に反応しているのです。

参考:クラシック音楽や歌手の「1/fゆらぎ」効果は本当?嘘?

「モーツァルト効果」は本物?——世界を驚かせた1993年の論文

クラシックと脳の研究で、最も有名なのが「モーツァルト効果」でしょう。

1993年、カリフォルニア大学アーバイン校の心理学者フランシス・ラウシャーらが科学誌『Nature(ネイチャー)』に発表した研究が発端です。モーツァルトの「2台のピアノのためのソナタ K.448」を大学生に聴かせたところ、空間認識テストのスコアが上昇した——という内容でした。
この発表は世界中に衝撃を与え、「クラシックを聴けば頭がよくなる!」として大きな話題になりました。

ラウシャーらの結果は世界各地で追試が行われましたが、「再現できない」という報告も多く寄せられ、議論が続きました。複数の研究をまとめたメタアナリシス(1999年、ハーバード大学)では、認知機能の向上は1.4IQポイント程度にとどまり、効果は短時間で消えるとされています。
ただし、「リラックスした音楽が脳を覚醒させ、一時的に作業効率を上げる」という効果については、多くの研究者が認めているところ。「クラシックを聴くと賢くなる」というよりは、「気分や脳の状態を整えることで、本来の力を発揮しやすくなる」というイメージが正確かもしれません。

なお中国の電子科技大学の研究では、モーツァルトのリズム構造を変えた音楽を使った実験を行い、「リズムがモーツァルト効果の鍵」という興味深い仮説も示されています。モーツァルトの音楽に宿る独特のリズム感——それが脳に働きかける何かを持っている可能性は、まだ完全に否定されていないのです。

自律神経・血圧・免疫力への影響——「音楽は副作用のない薬」

音楽の効果は「気持ち」だけにとどまりません。身体的な変化についても、さまざまな研究が発表されています。

ストレスホルモンが下がる

2003年にニューヨーク科学アカデミーの論文誌(Annals of the New York Academy of Sciences)に掲載された研究では、ストレスを与えた後にリラックスできる音楽を聴かせると、唾液中のコルチゾール(ストレスホルモン)の値が有意に低下したことが報告されています。

心拍・血圧が安定する

クラシック音楽を聴くと副交感神経が優位になり、心拍数が落ち着き、血圧も安定しやすくなることが複数の研究で示されています。特にバロック音楽のような、テンポが安定した曲(60〜80 BPM程度)はこの効果が出やすいとされています。
実際、埼玉医科大学の松下祥氏の研究では、モーツァルトの音楽を聴くと副交感神経が活発になり、細胞性免疫反応(体内のウイルスや菌と戦う免疫の仕組み)が高まることが示されています。

左脳を「お休みモード」にできる

日常生活では、言語処理や論理的思考を担う「左脳」を酷使しがちです。ところが、歌詞のないクラシック音楽を聴くと、芸術的・感覚的な処理を担う「右脳」が刺激され、相対的に左脳を休ませることができます。
仕事や勉強で頭が疲れたとき、クラシックを流してみると脳が自然とリフレッシュされる——これは「なんとなく気持ちいい」ではなく、脳の仕組みに沿った行動なのです。

イギリスの研究——曲の「気分」が勉強・作業にも影響する

イギリスのノーザンブリア大学の研究グループは、学生を対象にヴィヴァルディの「四季」の各曲を聴いたときの学習効果を比較しました。
結果、明るく躍動感のある「春」を聴いた学生は、「秋」を聴いた学生よりも問題を解くスピードが早く、正解率も高かったというのです。
これは、曲の「感情的な性質(明るさ、テンポ、旋律の特徴)」が脳の覚醒状態に影響し、作業効率にまで波及することを示唆しています。集中したいときはテンポの安定したバッハ、気分を上げたいときはヴィヴァルディの「春」、ゆっくり休みたいときはショパンの夜想曲……クラシックを「気分ごとに使い分ける」というのは、実はとても理にかなったことなのかもしれません。

まとめ——クラシックが愛され続ける理由は、ちゃんとある

今回ご紹介した研究をまとめると、クラシック音楽には以下のような科学的に認められた(または強く示唆されている)効果があることがわかります。

  • 好きな曲を聴くと「ドーパミン」が分泌され、脳が幸福感を感じる(マギル大学)
  • α波・1/fゆらぎを通じて、リラックスしながら集中できる理想の脳状態を作り出す
  • ストレスホルモン(コルチゾール)を低下させ、副交感神経を優位にする
  • 心拍・血圧を安定させ、免疫力にも好影響を与える可能性がある
  • 曲の感情的な性質が、作業効率・学習効果にまで影響する

「昔の人が作った音楽がなぜ今でも人気なの?」と思うことがあるかもしれませんが、こうして見てみると、クラシック音楽が人々から長く愛されてきたのには、ちゃんと理由があると思いませんか?
何百年も前に作曲家たちが直感と才能によって生み出した音楽が、現代の最先端の脳科学でも「すごい効果がある」と証明されている——なんだかロマンを感じてしまいます。
むずかしい理論を知らなくてもいい。「好きな曲を聴く」それだけで、私たちの脳と心は静かに、でも確実に、影響を受けているんですね。
クラシック音楽は聴いても弾いても奥が深く、そして科学的にも「効く」音楽です。みんなから親しまれ、何百年も愛され続けているのには、やっぱりそれだけの理由があるということ。改めて、クラシックって素敵だなと思います♪

 

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